弊社創業の想い
~トライアングル少額短期保険の目指すもの~
内閣府にて発行された、平成22年障がい者白書によると、国内の障がい者数は、身体障がい者約366万人、知的障がい者約55万人、精神障がい者約323万人、総計約744万人となっています。
近年、我が国では、障がい者の社会進出が目まぐるしく増加していますが、これは昭和45年に、現在の障がい者基本法の前身である、心身障がい者対策基本法が施行されたことが発端となり、その後障がい者に関連する様々な法律や環境の整備が徐々に進んできた結果であるといえます。
また、平成5年に、心身障がい者対策基本法から、障がい者基本法(障がいのある人の権利と施策に関する基本法)へと法改正されたことで、障がい者への自立を促すとともに、障がい者への差別を禁ずるということが、明確になりました。
現在、同法は、障がい者の自立及び社会参加の支援等の為の施策を総合的かつ計画的に推進し、障がい者の福祉を増進することを目的としており、その基本的理念は、すべての障がい者は、個人の尊厳にふさわしい生活を保障される権利を持ち、社会、経済、文化、その他の活動に参加する機会が与えられることや、何人も障がいを理由として差別をすることや権利利益を侵害してはならないとされています。
ここでいう障がい者とは、「身体障がい」「知的障がい」「精神障がい」であり、継続的に日常生活、社会生活に相当な制限を受ける者を指しています。
また、同法では、国と地方公共団体には、障がい者の権利の擁護、障がい者に対する差別の防止を図るとともに、障がい者の自立、社会参加を支援する責務があるとしています。更に、国民の責務として、社会連帯の理念に基づき、障がい者の福祉の増進に協力することや、障がい者の人権が尊重され、差別されることなく、あらゆる分野の活動に参加できる社会を実現することへの努力を求めています。
しかし、障がい者基本法が改正されても、障がい者の社会進出が大きく前進した訳ではありません。関連法令や環境の整備を地道に行ってきたことで、障がい者基本法が改正されてから、およそ17年に渡る歳月を費やし、障がい者の社会進出が促進されてきたというのが実態なのです。
このようにして、世の中のバリアフリー化が進んできたことで、障がい者の社会進出が増加してきましたが、未だに多くの障がい者にとって、閉ざされた分野があります。その一例が、「保険」です。
現在、我が国において、生命保険は、世帯加入率が約90%を誇り、もはや国民の生活において、欠かすことの出来ない存在となっています。
しかしながら、障がい者が加入を希望しても、保険会社は身体上の公平性の原則という考えにより、保険加入の引受を拒むケースがほとんどです。
なぜなら保険は、日常や将来生じると予測されるリスクに対して、大勢の人が公平に保険料を負担し、いざというときに給付を受けるという相互扶助の理念で成り立っているからです。
このことから、被保険者の身体・健康面のリスクについては慎重な判断が必要とされており、障がい者にとっては、加入自体が困難な状況になっているのです。
つまり現状では、「障がい者」にとって、保険はバリアフリー化されていないといえるのです。
では、障がい者は、公的医療保険制度の中で、何らかの保障を受けることは可能なのでしょうか。
障がい者の医療費については、各地方自治体により対象が異なりますが、概ね、身体障がい者手帳の1~2級、療育手帳(知的障がい)の重度判定の方等に対して、健康保険の自己負担分の全額もしくは一部が助成されています。
一方、障がい者は、医療費負担に関しては一見優遇されているように映りますが、助成されるのは純然たる医療費部分だけであり、差額ベッド代や付添費用、入院に関する雑費はもちろんのこと、逸失利益等が補てんされることはありません。
当然のことながら、障がい者にも、本人の障がいとは因果関係の無い傷病により入院をするケースが発生します。このリスクは、一般の方が傷病を理由に入院するリスクと、全く同様であると考えられます。
一般の方の場合は、傷病により入院する際に、本人が希望さえしなければ、負担する費用は健康保険の摘要範囲内で納まり、それ以外には食事代など少額の雑費が生じる程度で済んでしまうケースが比較的多いといえます。
一方、障がい者の場合にはどうでしょうか。実は、その障がいの症状によっては、健康保険の適用外である差額ベッド代や付添い費用等、多額の費用負担が発生するケースが多くなります。
なぜなら、ダウン症患者や自閉症患者は、感染症等の予防や他の入院患者に迷惑が掛からないよう個室に入院する必要性が高まり、また障がい児が入院する際は、保護者である親の付添や病院付添サービスを利用することで、健康保険の適用外である費用負担が生じるケースがあるからです。
このように、純然たる医療費の負担はある程度軽減されていても、医療費以外の費用が多額に発生することになるのです。そして生じる費用はケースバイケースですが、その費用を公的医療保険制度で補うことは、現実的には不可能となっています。
一方、「障がい者」だけではなく「持病をお持ちの方」の場合はどうでしょうか。
「持病をお持ちの方」の数は、厚生労働省にて調査した、平成18年国民健康・栄養調査の推計によると、糖尿病が強く疑われる方が約820万人、高血圧症有病者数が約3970万人、動脈硬化に繋がる脂質異常症者数が約1410万人であり、これらの有病者数の総計は、約6200万人となっています。
代表的な持病である、「糖尿病」「高血圧症」「脂質異常症」という3つの生活習慣病は、日本が豊かになると共に相まった栄養過多を背景に、その数を年々増やしてきました。こうした病気の増加は、財政を逼迫することにもなる為、平成14年に、厚生労働省による医療制度改革と国民の健康維持と現代病予防を目的として、健康増進法が施行されました。
また、生活習慣病を放置することは大変危険であり、時には生命の危機に繋がりかねない為、企業や自治体では、あらゆる施策を実施しています。
このことからも分かるように、「持病をお持ちの方」も「障がい者」と同様に、身体・健康面のリスクを抱えているといえます。
また、当然のことながら、「持病をお持ちの方」も保険加入に際しては、身体・健康面のリスクに対して、慎重な判断が必要とされます。仮に加入を希望しても、保険会社は障がい者同様、身体上の公平性の原則という考えにより、保険加入の引受を拒むケースがほとんどであり、保険への加入が非常に困難な状況になっているのが現状なのです。
つまり、「障がい者」と同様に、「持病をお持ちの方」にとっても、保険は閉ざされた世界であるといえるのです。
では、「持病をお持ちの方」の医療費負担はどうでしょうか。お持ちの持病が障がいと認定されていなければ、公的医療保険制度での助成はありませんが、一般のケースであれば、高額療養費制度により、医療費の自己負担は月額80,100円+αで抑えられており、100,000円を超えることは稀であると考えられます。
しかし、「持病をお持ちの方」は、一般の方より入院する場合も多くなり、入院に関連する諸費用も高額になるといえます。
これらのことから、わたしたちは、「障がい者」や「持病をお持ちの方」にスポットをあて、現在の保険の在り方や公平性の原則についての考え方を改めて見直し、本当に保険を必要としている方々へ、保険をお届けする為には、「保険のバリアフリー化」を実現することが急務であると考えました。
この「保険のバリアフリー化」を実現させることは、障がい者本人やご家族が抱える医療費に纏わる経済的不安を解消させるだけでなく、公的医療保険制度では実現困難である分野を補完することに繋がり、更には誰もが安心して暮らせる社会作りの一翼を担いたいと考えています。
また、わたしたち、トライアングル少額短期保険が行う少額短期保険事業は社会のニーズにも合致しているものと考えており、誰もが手をつけることが難しかった分野を切り開き、「必要とする方々へ必要とする保険をお届けする」という会社理念に基づき、社会へ貢献する企業となる事を目指してまいります。
平成22年12月24日
トライアングル少額短期保険会社
設立発起人 櫻井滋